授業実践レポート
感情をかたちにしてみよう
~オノマトペのデザイン~
「ねりキャンワールド」を用いた表現のデザインと
五感を味わう学習プログラム
実践者:東海大学付属高輪台高等学校 鶴岡薫 先生
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対象年齢

高校2年生
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対象人数

20名
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実施時間

約50分×2時限
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授業形態

オンライン授業
実施可
日常生活の中にある多種多様なオノマトペに触れ、それらが五感とリンクしていること、
使うことでコミュニケーションが豊かになることを、制作を通して気づかせることをねらいとしています。
立体オノマトペ(具現化した聴覚)を作るにあたって、幼少期より触り慣れている可塑性のある素材で
あること(触覚)、今までの知識を使い色を作り加えていけること(視覚) 、普段の美術の授業では
感じることができない香りがあること(嗅覚)などを楽しみつつ発想を広げて制作します。
最後には試行錯誤の上に作り上げた作品を、クラスメイトとともにコミュニケーションをとりながら
食べることで、五感を味わいます。
1コマ目では、授業説明とねらいについて説明します(5分)。次に表現はコミュニケーションであると考えられるので「友情」「恋愛」「家族」など人と人のコミュニケーション要素がある映像を鑑賞(30分)。
ワークシートでいくつかの場面について考察し、そこからオノマトペを考えます(15分)。
2コマ目は、制作の時間とします。生徒一人につき「ねりキャンワールド」を2箱配布し、生徒間のソフトキャンディの色交換は可とします。擬音語、擬態語が持つ意味を形、色、香り、味で表すことが目的であることを確認し、制作を始めます。例えば、「モヤモヤ」は毛糸が絡まったような形にし、全色に黒を混ぜて暗い感じにします。
オノマトペは1つとは限定しません。立体で作るので、裏腹な感情や煮え切らない感情を表すために、表面では「ドキドキ」裏面では「わくわく」となるよう作ってもよいでしょう。タブレットを使用し作品を撮影します(制作30分)。
全体発表をし、自分にない感情や表現方法について知り表現の幅を広げる機会を設けます。最後に、実際に食べることで香りと触感を味わい、五感が完成します。
知育菓子®授業の様子
「オノマトペ」を立体に?
食品を使って制作する授業は初めてなので、生徒はいつも以上に説明や注意事項を熱心に聞いていました。
スライドを見ながら「”わくわく”はオノマトペだよね?」などと話し、各々イメージをふくらませている様子。ブロックを使って立体の見方を説明すると、 「言葉を立体で表現するにはどうしたらよいのだろう?」と話し合っていました。
「ねりキャンワールド」でオノマトペを表現
コミュニケーションに関する映像を電子黒板で鑑賞。主人公が高校生という設定に自分たちを重ねつつも、タイムリープという非現実にメモをとりながら熱心に見入っていました。
鑑賞後、メモからオノマトペを思い出す作業では、シーンのイメージも一緒に出てくると言っていました。「ねりキャンワールド」を使ってオノマトペを立体に表現する制作では、試行錯誤していつも以上に自分の作業に夢中になりつつ、友達と有意義な意見交換(コミュニケーション)していた様子が素晴らしかったです。
作品を発表しコメントでコミュニケーション
作品が完成したら、写真を撮って発表しました。「これがおいしいお菓子だなんて信じられないよね!」と言いながらデジタルワークシートに記入します。作品制作でどのような工夫、困難、発見があったかを文章にしてまとめました。
友達の作品を見て「その手があったか!」や「ここがいいね」などの声かけというコミュニケーションをとっていた姿が印象的です。
デジタルワークシートで全員の作品を鑑賞し、生徒同士でコメントし合います。細部に気づいていたり、経過に触れていたりとお互い参考になるコメントができているようでした。また、オノマトペの感じ方に共感を持っている姿も見られました。
2025.07

鶴岡薫 先生
東海大学付属高輪台高等学校/
芸術科(美術)教諭
中高一貫校で教鞭をとって20年。中学1~3年生と高校2年生の4学年の美術の授業を担当。また、東海大学が行っている全付属校生対象の学園オリンピックでは造形部門委員を務め、応募生徒の制作指導も行う。
多くのことがAIでこなせる時代に、「人間だからこそできる」という強みを持った人を育てたい!と日々教育に励んでいる。
美術の作品制作というと、主に気を配るのは「色」と「形」ですが、「ねりキャンワールド」を用いることでそこに「味」と「匂い」が加わります。
すると、美術のねらいである「創造活動の喜びを味わう」ことや「感性を高める」ということに、生徒たちがいつも以上の熱量で取り組めるということがわかりました。
説明段階から「アイディア湧いちゃった!」「早く作らせて!」と高校生が目をきらきらさせていたのです。いざ制作が始まると、テーマのオノマトペ、色の足し算、色の感情、立体であることなど、さまざまな「考えなくてはならない壁」があります。しかし「ねりキャンワールド」の甘い匂いに刺激され楽しそうに試行錯誤していました。もちろん最後にはおいしくオノマトペを味わっていました。
こんなにも手軽に多くの知覚を刺激する表現活動が行える知育菓子®︎は、さまざまな教科を学ばなければならない高校生にも有意義だと感じました。