授業実践レポート
和柄と寿司のハーモニー
「ねりキャンワールド」と「たのしいおすしやさん」を用いた和柄や
寿司の造形的なよさや美しさの理解に関する学習プログラム
実践者:弘前大学教育学部附属小学校 八嶋孝幸 先生
-
対象年齢

小学校高学年
-
対象人数

約30名
-
実施時間

約90分
-
授業形態

オンライン授業
実施可
教材
暮らしの中にある日本伝統の「和柄」や、ユネスコ無形文化遺産である「和食」文化の一つである
寿司について造形的な視点で触れ、造形的なよさや美しさを感じ取る学習です。
子どもが仲間と感じ方や考えを共有しながら、「和柄」や「寿司」の造形的な特徴などを
捉えられるようになってほしいと考えました。
知育菓子®を用いてつくったり食べたりする活動を通して、伝統の中にある模様や和食の一つである寿司のデザインのよさや美しさを感じ取ります。そして、それらを受け継ぎ、発展させていこうとする心情を育てることを意図した授業です。
知育菓子®を教材として使用する理由としては、これまで、図画工作の題材において、食べ物や食器を表現する活動はありましたが、実際食べて実感するということは、あまり見たことがなかったためです。特に、食文化に関連した学びにすることを意図しているので、食べるという行為は大切にしたいと考えています。
図画工作科の目標にある生活や社会の中の形や色に豊かに関わる資質・能力を育てるという観点からも、生活の中に必須な食という要素を入れることは非常に有効です。また、知育菓子®は、アレルギー物質の表示についてしっかりと確認できるので、安心感があることも教材として使用したいと思った理由です。
知育菓子®授業の様子
和柄の鑑賞をしながら話し合う
和柄が規則正しく並んでいたり、繰り返したりしているパターンが見られることや、自然や動植物のモチーフが多いことに気づく様子が見受けられました。
その後、いくつかの和柄をとりあげて、縁起の良い意味が込められていることが多いということについて情報を提供します。子どもたちは興味深そうに聴きながら、いろいろな和柄の意味について自分でも調べていました。
形や色だけではなく、和柄の意味について考えながら選ぶ様子が見られました。
心を動かすステキな一皿になるかを考えて表現!
紙皿に和柄の折り紙を貼り付けて、和柄の皿をつくりました。つくり方の手順はクラウド上で共有し、それを確認しながらスムーズに行なっていました。
自分でつくったお皿を眺めながら、どのようなお寿司をのせたいかを考え、アイデアスケッチをしました。いろいろな寿司について調べるためのリンクをクラウド上で共有し、それを調べながら、形や色を考えて描く様子や、和柄の意味についても考えている様子が見られました。
形や色を考えて知育菓子®で作品をつくる
アイデアスケッチを見ながら、形や色を工夫して自分のイメージに合う寿司づくりに取り組んでいました。
自分や友達の表現のよさや美しさを味わいながら、和柄や寿司の造形的なよさや美しさについて理解を深めていました。
完成した後、子どもたちは、つくった知育菓子®︎を味わいながら、形や色の効果についても考えていました。単純においしかったという感想だけではなく、人の心を動かすためには造形的な工夫が効果的だということ、また、おいしそうという感覚についても、主観に基づくものではなく、形や色、効果によってもたらされるということが確認できました。
2025.07



八嶋孝幸 先生
弘前大学教育学部附属小学校/主幹教諭
弘前大学大学院教育学研究科修了(美術科教育)。教科教育を通したウェルビーイングの実現や学習レリバンスを高めるためのカリキュラムデザイン等について研究。学会誌、教育雑誌、書籍に執筆多数。県内外の学校や各種研究会、セミナー等での実践発表、ワークショップ、講演多数。第23回ちゅうでん教育大賞教育奨励賞、2024年度放射線授業事例コンテスト日本科学技術振興財団理事長賞等受賞。授業てらすプロ講師、MIEE、ロイロ認定ティーチャー、embot認定教育者、BookCreatorアンバサダー、
AkaDako Educator Expert等認定。アーティストとしても日本板画院板院展新人賞、石井頼子賞等受賞多数、日本板画院院友。美術科教育学会、大学美術教育学会、日本美術教育学会、東北芸術文化学会正会員。図工美術教育授業研究会FLAT47事務局。日本文教出版教科書編集協力者。
「和柄」や「寿司」は、日本人にとっては身近で、その造形的なよさや美しさなどは意外と見過ごしがちではないかと思います。知育菓子®授業では、普段見過ごしがちな生活の中の形や色などのよさや美しさを改めて味わうことができ、さらに食べることで形や色の工夫の効果を実感することにつなげられると思います。このような活動を通して、子どもたちがより広い社会の形や色などと豊かに関われるようになるのではとイメージしています。