漢方薬名解説

一般的に「胃腸」に使われる漢方薬

胃苓湯(いれいとう)

目次

「胃苓湯」はこんな方に!

冷えが胃腸にくるタイプ

  • 消化剤をのむことが多い方
  • 運動すると胃がチャポチャポする方
  • 気がつくと手を胃に当てている方
  • 下痢や軟便傾向の方

「胃苓湯」はどんなふうに効くの?

漢方では、煮炊きするのに火が必要なのと同じように、胃腸で食べ物を消化するためには熱が必要だと考えます。冷たい飲食物をとり過ぎると、必要な熱が奪われてしまうため、胃腸のはたらきをそこなってしまうのです。また、熱がないと水分を動かすこともできないので、おなかが水っぽくなり、下痢や軟便が多くなります。

「胃苓湯(いれいとう)」は、余分な水分を排出するとともに、水っぽくなった胃腸を乾かすという考え方の処方です。下痢や軟便などを止めるのではなく、原因をとり除くことで改善していきます。


漢方用語解説
目に見えないが人の体を支えるすべての原動力のようなもの

配合されている生薬は?

  • 蒼朮(そうじゅつ)
  • 厚朴(こうぼく)
  • 猪苓(ちょれい)
  • 沢瀉(たくしゃ)
  • 白朮(びゃくじゅつ)
  • 茯苓(ぶくりょう)
  • 陳皮(ちんぴ)
  • 桂皮(けいひ)
  • 大棗(たいそう)
  • 生姜(しょうきょう)
  • 甘草(かんぞう)

漢方的考え方で胃腸を分析

漢方では、食道や胃、腸といった臓器一つひとつのはたらきではなく、口から肛門までつながった全体のはたらきで、消化・吸収機能を果たしていると考えます。

口から入った飲食物は、「気」の流れによって体の下のほうまで運ばれます。もし、このとき「気」が少なかったり、どこかで滞ったりすると、胃腸は機能を発揮しきれず、トラブルが起こります。たとえば、「気」の流れが胃で止まればもたれたり、「気」が逆流すればはき気となったりします。さらに、「気」が止まった場所では痛みが生じます。「気」を止める原因は、ストレス冷えなどさまざまです。

また、消化器では、飲食物の「気」をとり出す作業が行われています。とり出された飲食物の「気」のもとは、肺まで持ち上げられ、「気」が生成されます。

つまり、漢方では、“飲食物を上から下まで降ろす”“飲食物の「気」を上に持ち上げる”という上下の「気」の流れがセットになって、胃腸のはたらきを正常にしていると考えるのです。

なお、漢方では、胃腸が冷えているか、炎症をもっているか、胃腸が弱っているか、原因は体の内にあるか、外にあるかなど症状、体質、原因などをもとに処方を選びます。

漢方的考え方で胃腸を分析 イメージ

症状・悩みから選ぶ‐「胃腸」

漢方薬での胃腸の治し方

西洋医学では、胃、十二指腸、小腸、大腸といった部位別に症状を考え、それぞれの機能を肩代わりしたり、機能障害を抑えたりするような治療をします。たとえば胃酸の出過ぎなら、胃酸を抑えたり中和したりする制酸剤を、消化が悪ければ、食物を分解する酵素の入った消化剤を用いるような治療です。

一方、漢方では、“胃腸”は部位ではなく、消化・吸収のはたらき全体としてとらえ、そのバランスを整えるように治療します。胃腸は、上下の「気」の流れによって正常に動いていると考えるので、胃腸に使われる漢方薬はこの上下の流れを整えるように処方されます。また、胃腸「気」が少なくなっているときには、「気」を補ってはたらきを良くする治療を行います。

「胃苓湯」は、胃がもたれて消化不良の傾向に用いられる「平胃散(へいいさん)」という処方と、のどが渇いて、尿量が少なく、はき気、むくみなどの症状があるときに用いられる「五苓散(ごれいさん)」という処方を組み合わせたものです。


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