
クラシエでは生薬の生産現場である農場からの情報をもとに実際に検証を行い、トレーサビリティ体制を充実させることにより、製品の安全性の確保に努めています。
安全で安定した品質を保証するために、原料生薬の受入時から中間原料のエキス粉末並びに最終製品に至る工程で残留農薬検査を行い、安全性に問題ないことを確認した上で、製品を出荷しています。
生薬中の残留農薬基準は日本薬局方に定められており、20種類の生薬についてBHC類及びDDT類の基準が設定されています。また、日本漢方生薬製剤協会においては表に示す生薬を配合する漢方・生薬製剤に関して、それぞれの農薬種についての自主基準が設定されています。
クラシエではこれらの基準に加え、全ての生薬及び製品に対し残留農薬検査を実施し、安全性の確保に努めています。
表: 漢方製剤・生薬、生薬製剤の残留農薬に関する基準
対象 | 基準 | 農薬種 | 農薬 | 適用 |
生薬 | 日本薬局方 残留基準 | 有機塩素系 | 総BHC | オウギ、オンジ(末)、カンゾウ(末)、ケイヒ(末)、コウジン、サイシン、サンシュユ、センナ(末)、ソヨウ、タイソウ、チンピ、ニンジン(末)、ビワヨワ、ボタンピ(末) |
総DDT | ||||
製剤 | 日本漢方 生薬製剤協会 自主基準 | 有機塩素系 | 総BHC | オウギ、オンジ、カンゾウ、ケイヒ、コウジン、サイシン、サンシュユ、センナ、ソヨウ、タイソウ、チンピ、ニンジン、ビワヨワ、ボタンピを配合する漢方・生薬製剤 |
総DDT | ||||
有機リン系 | パラチオン | オンジ、サンシュユ、ソヨウ、チンピを配合する漢方・生薬製剤 | ||
パラチオン メチル | ||||
メチダチオン | ||||
マラチオン | ||||
ピレスロイド系 | シペル メトリン | オンジ、ソヨウ、タイソウ、チンピ、ビワヨウを配合する漢方・生薬製剤 | ||
フェンバレ レート |
生薬、エキス粉末及び製品は、有機溶媒で抽出し、試料溶液として精製されたのちガスクロマトグラフィ(GC)にて分析します。
農薬の分析で利用される代表的な検出器としては、MS(質量分析計)、ECD(電子捕獲型検出器)、FPD(炎光光度検出器)などがあげられ、それぞれ次のような特徴をもっています。
MS: 質量分析計 | 質量数により検出するため幅広い種類の農薬検出が可能になりますが、検出精度(感度)が劣る欠点があります。 |
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ECD: 電子捕獲型検出器 | ハロゲン、ニトロ基などに高い選択性をもつことから、有機塩素系やピレスロイド系などの農薬の検出に優れています。 |
FPD: 炎光光度検出器 | リンや硫黄に高い選択性をもつことから、有機リン系農薬の検出に優れています。 |
クラシエでは、GC-ECD及びFPDを用いた農薬分析を行っており、必要に応じてGC-MSによる測定も行っています。使用時期が不規則な有機リン系農薬については特に注意をはらい、想定外の物質が含まれていても構造を推定できる方法で測定しています。