漢方薬名解説

一般的に「胃腸」に使われる漢方薬

半夏瀉心湯(はんげしゃしんとう)

目次

ストレスが原因の胃腸の不調に効果的な漢方薬

口から胃や腸へ飲食物が運ばれても、きちんと消化・吸収されなければ体を動かす力にはなりません。動力がなければ、今度は飲食物を消化・吸収する力も低下する、という悪循環に陥ることもあります。漢方では、この動力となるものは「気」ですが、「気」は強い圧力を受けるとその場で停滞しやすくなります。ストレスも、「気」にかかる圧力のひとつです。

「半夏瀉心湯(はんげしゃしんとう)」は、「気」が上から下に飲食物を運ぶ流れを助ける、飲食物の「気」が肺に上がっていくのを助ける、胃腸を守るという3種類の作用をもつ医薬品(漢方製剤)です。漢方で考える胃腸のはたらきに生薬が総合的にアプローチし、作用することで症状を改善していく処方です。本剤は、下痢、消化不良、吐き気、胸やけなど胃腸のはたらきが弱ったときや、口内炎などの症状に利用されます。

効能・効果

体力中等度で、みぞおちがつかえた感じがあり、ときに悪心、嘔吐があり食欲不振で腹が鳴って軟便又は下痢の傾向のあるものの次の諸症:急・慢性胃腸炎、下痢・軟便、消化不良、胃下垂、神経性胃炎、胃弱、二日酔、げっぷ、胸やけ、口内炎、神経症

配合生薬(成分・分量)

成人1日の服用量12錠(1錠380mg)中、次の成分を含んでいます。
半夏瀉心湯エキス(4/5量)…3040mg
(ハンゲ4.0g、オウゴン・ショウキョウ・ニンジン・カンゾウ・タイソウ各2.0g、オウレン0.8gより抽出。)
添加物として二酸化ケイ素、クロスCMC-Na、ステアリン酸Mg、セルロース、ヒプロメロース、マクロゴール、カルナウバロウを含有する。


生薬ファイル

成分に関連する注意

本剤は天然物(生薬)のエキスを用いていますので、錠剤の色が多少異なることがあります。

用法・用量

次の量を1日3回食前又は食間に水又は白湯にて服用。

年齢1回量1日服用回数
成人(15才以上)4錠3回
15才未満7才以上3錠
7才未満5才以上2錠
5才未満服用しないこと

用法・用量に関連する注意

小児に服用させる場合には、保護者の指導監督のもとに服用させてください。

注意点・副作用

使用上の注意
  • 相談すること
    1. 次の人は服用前に医師、薬剤師又は登録販売者に相談してください
      (1)医師の治療を受けている人
      (2)妊婦又は妊娠していると思われる人
      (3)高齢者
      (4)今までに薬などにより発疹・発赤、かゆみ等を起こしたことがある人
      (5)次の症状のある人
      むくみ
      (6)次の診断を受けた人
      高血圧、心臓病、腎臓病
    2. 服用後、次の症状があらわれた場合は副作用の可能性があるので、直ちに服用を中止し、この文書を持って医師、薬剤師又は登録販売者に相談してください
      皮膚発疹・発赤、かゆみ

      まれに下記の重篤な症状が起こることがある。
      その場合は直ちに医師の診療を受けてください。
      間質性肺炎階段を上ったり、少し無理をしたりすると息切れがする・息苦しくなる、空せき、発熱等がみられ、これらが急にあらわれたり、持続したりする。
      偽アルドステロン症、ミオパチー手足のだるさ、しびれ、つっぱり感やこわばりに加えて、脱力感、筋肉痛があらわれ、徐々に強くなる。
      肝機能障害発熱、かゆみ、発疹、黄疸(皮膚や白目が黄色くなる)、褐色尿、全身のだるさ、食欲不振等があらわれる。
    3. 1カ月位(急性胃腸炎、二日酔、げっぷ、胸やけに服用する場合には5~6回)服用しても症状がよくならない場合は服用を中止し、この文書を持って医師、薬剤師又は登録販売者に相談してください
    4. 長期連用する場合には、医師、薬剤師又は登録販売者に相談してください

保管方法

(1)直射日光の当たらない湿気の少ない涼しい所に保管してください。
(2)小児の手の届かない所に保管してください。
(3)他の容器に入れ替えないでください。(誤用の原因になったり品質が変わります。)
(4)使用期限のすぎた製品は、服用しないでください。
(5)水分が錠剤につきますと、変色または色むらを生じることがありますので、誤って水滴を落としたり、ぬれた手で触れないでください。

製品情報

半夏瀉心湯エキスEX錠クラシエ

半夏瀉心湯 第2類医薬品

漢方製剤「半夏瀉心湯」の詳細情報を見る
不安や過労などのストレスによるみぞおちのつかえ、神経性胃炎におすすめの漢方薬(処方)です。


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よくある質問

Q この薬と「半夏厚朴湯」との違いは一般的に何ですか?
A 「半夏厚朴湯」は、のどのつかえ感、不安感のある方に効果を発揮する薬です。気持ちを穏やかにさせて、不安や緊張感をやわらげる作用があるとされています。「半夏瀉心湯」は、ストレス性の胃腸症状のある方に効果があり、とくに胃やみぞおち周辺の症状のある方に効果を発揮する薬です。日頃から自覚症状に注意してみましょう。
Q 一般的にこの製品(処方)は服用して効果が出るまで、どのくらいの時間がかかりますか?
A 漢方薬(漢方製剤)の効果が出るまでの期間は、体質や症状によりさまざまです。添付文書の情報をよく読んで、用法・用量を守ってお飲みいただき、1カ月位(急性胃腸炎、二日酔、げっぷ、胸やけに服用する場合には5~6回)服用しても症状が良くならない場合は、薬の服用を中止し、医師、薬剤師または登録販売者にご相談ください。
Q 妊娠中や授乳中でも服用できますか? この薬(処方)を利用する際に注意することがあれば教えてください。
A 薬の種類、服用期間、お母さん及び赤ちゃんの状態などを総合的に考慮する必要があります。妊娠中や授乳中の方は、薬の服用前に医師、薬剤師または登録販売者にご相談ください。
Q この薬(処方)の副作用は一般にどういったものがありますか?
A 「半夏瀉心湯」は、添付文書に記載があるように、発疹・発赤、かゆみの副作用を起こすことがありますので注意してください。このような症状が出た方は、薬の使用を中止し、医師、薬剤師、または登録販売者にご相談ください。