暮らしのヒント
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春は入学や転勤などで新生活を迎える人も多く、自分や家族の生活が大きく変化しやすい季節です。疲労やストレスが知らず知らずのうちに蓄積し、放っておくと心と体のバランスを崩してしまうことがあります。
ちょっとしたことにイライラする、倦怠感や不安感に悩まされるなど心の状態だけでなく、人によっては疲れているのに寝付けない、眠りが浅いなどの睡眠のトラブルとなって現れることがあるのです。
快適な睡眠を確保するための睡眠時間や、睡眠のパターンは人によって異なります。何時間寝ればよいということではないので、たとえ睡眠時間が短くても自分が満足し、快適に活動できていれば問題ありません。
寝付けない、熟睡感がない、早朝に目が覚めてしまう、充分眠っても日中の眠気が強いことが長期間続くなどが睡眠の問題の合図です。不眠の原因は、ストレス、心や体の病気、生活リズムの乱れなどさまざまなので、原因に応じた対処がたいせつです。 -
漢方では、不眠は「心(しん)」の病気と考えています。心(しん)とは心臓だけではなく、意識や精神活動など大脳系のはたらきも含まれる概念です。心の働きが十分ではなくなると不眠症や、不安感などの症状が起こってきます。
睡眠を妨げるものにいろいろな原因が考えられるので、いくつかの側面からタイプを判断します。
実際にあなたの不眠のタイプをチェックしてみましょう。
チェック項目で思い当たるものが多いものが、あなたの不眠タイプです。
チェックが同じ数の場合は、一番気になる症状があるほうを選んでください。「なかなか眠れないタイプ」に働きかける漢方薬は、「柴胡加竜骨牡蛎湯」(サイコカリュウコツボレイトウ)です。不足しがちなカルシウムなどの栄養素を体が吸収できるように働きかけ、自然治癒力を引き出していきます。眠りが浅いなど、「ぐっすり眠れないタイプ」には、「加味帰脾湯」(カミキヒトウ)で栄養を補い眠れるからだづくりを目指します。体力を補うことで、眠りの質を上げることを目指します。
自分に合う漢方薬で健やかな眠りを維持し、睡眠の質を上げるヒントを見つけていきましょう。「柴胡加竜骨牡蛎湯」と「加味帰脾湯」のいずれも、眠りのために効果的な漢方薬ですが、昼間飲んでも眠くなりにくいのが特徴です。
漢方薬による治療では、心とカラダのバランスを整え、調和の取れた状態にして、自然な睡眠を促すからです。不眠の原因でもある不安やイライラを抑える効果も期待できます。 -
私たちは、人生の約3分の1を眠って過ごしています。睡眠は、生活習慣そのものです。
普段の生活の中でも少し気をつけるだけで、睡眠の質を上げることができるといわれていることがあります。
大事なのは、同じ時刻に毎日起床して、日光を浴びるなど、生活のリズムを一定にすること。定期的な運動をすることも熟睡しやすくさせます。
寝なくてはと意気込むと返って頭がさえてしまいなかなか眠れないという経験をした人は多いのではないでしょうか。リラックスするように心がけ眠たくなってから寝床にはいることがよいそうです。軽い読書や音楽、香り、ストレッチなど自分にあったリラックス方法を見つけておくと良いですよね。ぬるめの入浴もオススメです。
寝る直前の満腹、夕食後のカフェイン摂取、睡眠薬代わりの寝酒などは、快適な睡眠を妨げてしまうので、できるだけやめるように気をつけてくださいね。
不快な音や光を防ぐ、自分にあった寝具を使うなど、よい眠りのための環境を整えてみるのもいいのではないでしょうか。
自分の生活にと入れられそうなものからはじめてみませんか。
睡眠の質を上げて、蓄積した疲れからの回復力をあげて、快適生活を送りましょう。入浴の睡眠への効果は、カラダを暖める効果にあるそうです。運動と同じで、就寝前に体温を一時的に上げることによって脳の温度も上がります。
その脳の温度が低下するときに眠りやすくなり、快眠が得られやすくなるということなのです。
寝る直前の入浴は寝つきを悪くする心配もあるので、寝つきのためには、就寝の2〜3時間前の入浴がオススメです。

睡眠は生活環境と密接につながっています。眠らなくてはと考え無理に焦ってしまっても逆効果を生む場合もあります。睡眠の質はもちろんのこと、生活するうえで無理のないようサポートするのが漢方薬です。睡眠でお悩みの方のお役にたてるよう、これからも努力してまいります。