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生理不順

生理不順を改善する漢方薬とは|生理不順・生理痛の原因と解決策

生理不順が気になってはいるけれど、原因がはっきりとせず悩んでいる女性もいらっしゃるかと思います。この記事では、生理不順や生理痛が起こる原因についてご紹介します。また、生理不順に効果的な漢方薬についてもご紹介します。生理不順で悩んでいる方は、ぜひ参考にしてみてください。

目次

なぜ生理不順・生理痛は起こるのか?

ここでは、生理痛の原因や月経前症候群(PMS)、月経困難症などについてご紹介します。


時期による身体の変化と生理痛の原因

生理周期のおおよその目安は25~35日とされています。生理周期が46日以上と長かったり、逆に24日以内と短かったり、生理周期にばらつきがあり、一定しないのが生理不順です。生理不順の原因には、卵巣の発達が遅かったり、卵巣や子宮になにかトラブルを抱えていたり、また過度なダイエットが原因になっている場合もあります。

次に、生理前後の時期ごとに起こる身体の変化や痛みについて見ていきましょう。


・生理中(前半)【1週目】
生理(月経)直前から前半まで、<プロスタグランジン>という物質が急に増えます。プロスタグランジンは子宮の収縮を促進して、経血を身体の外に排出する役割を果たします。この量が多過ぎると収縮が強くなってキリキリとした痛みが発生します。また、血管を収縮させる作用もあるので、腰痛やだるさ、冷えがひどくなることも。そのほか、胃腸の動きにも影響を与えるので、吐き気や下痢を起こすこともあります。

・生理中(後半)【1週目】
血液の流れが滞るうっ血が起こりやすくなります。すると、骨盤を中心に血液の流れが悪くなり、下腹部の鈍痛や腰回りの重苦しい感覚を引き起こします。軽い生理痛なら、このうっ血を改善することで痛みをやわらげることができます。生理が終わりに近づくと、女性らしさを引き出す卵胞ホルモンの分泌が始まり、ブルーな気分から脱出できます。

・生理後【2週目】
排卵を前に卵胞ホルモンの分泌が高まることで、肌のツヤやきれいな髪をつくり、心も体もいきいきと充実させます。卵胞ホルモンは排卵の準備をするとともに、排卵に向けて、女性としての美しさが増す時期でもあります。

・排卵後・調整時期【3週目】
大きな不調はないものの、黄体ホルモンの分泌が高まり子宮内膜が厚くなりはじめ、下腹部になんとなく不快感、違和感が出始めます。黄体ホルモンは精神に不安定感ももたらすため、デリケートな時期になります。

・生理後【4週目】
排卵後、女性ホルモンの一つである黄体ホルモン(プロゲステロン)の分泌量が急激に増えます。そして、受精卵が着床せずに生理が起こると一気に減っていきます。この大きな変化で、身体をコントロールする自律神経がバランスをくずしやすくなり、頭痛や胃痛、イライラなどの不調を引き起こします。また、黄体ホルモン(プロゲステロン)には、乳腺を発達させる、体温を上げる、体内の水分を引き出すなどの作用もあるため、乳房が痛くなったり、だるさや下半身のむくみが起こりやすくなったりします。

生理の1~2週間前から生理が始まるまでの症状を「月経前症候群(PMS)」と呼びます。次に詳しくご説明します。


月経前症候群(PMS)とは

月経前症候群(PMS)とは、月経前、3~10日間続く、精神的あるいは身体的症状で、月経開始とともに軽快または消失するものをいいます。

月経前症候群(PMS)の原因は、排卵後の女性ホルモンの急激な変化が関係していると考えられています。とくに、生理前には黄体ホルモンの分泌が増えて、生理が始まると急に減ることから、このホルモンが関係しているのではないかといわれていますが、はっきりした原因はまだわかっていません。

症状としては以下があげられます。
精神神経症状として情緒不安定、イライラ、抑うつ、不安、眠気、集中力の低下、睡眠障害、自律神経症状としてのぼせ、食欲不振・過食、めまい、倦怠感など。 身体的症状として腹痛、頭痛、腰痛、むくみ、おなかの張り、乳房の張りなど。


痛みが強い月経困難症の原因と症状

月経困難症とは、月経中に起こる、日常生活に支障が生じるほど強い苦痛を伴う病的症状のことをいいます。また、月経困難症は「機能性月経困難症」と「器質性月経困難症」に分けられます。

機能性月経困難症 器質性月経困難症
年代 思春期~20代前半に多い。 20代後半から多くなる。
原因 プロスタグランジンの分泌量が多い、子宮や卵巣が未成熟、冷え、ストレスなど。 子宮内膜症、子宮腺筋症、子宮筋腫など。
時期 初経後1~2年してから発症する。 初経後4~5年以上経過して発症する。
その他特徴 一般に月経開始から2日間の症状が重い。加齢に伴い次第に症状が軽くなる。 月経期間中ずっと、強い苦痛が続く。加齢に伴い、次第に悪化する。

漢方医学で考える生理不順・生理痛

次に、漢方医学の観点から、生理不順や生理痛について見ていきましょう。


「気・血・水」とは?

漢方では、人の体は「気(き)」「血(けつ)」「水(すい)」の3つで構成されていると考えられています。「気」は目には見えないが人の体を支えるすべての原動力のようなもの、「血」は全身の組織や器官に栄養を与えるもの、「水」は飲食物中の水分を消化吸収によって人の体に必要な形にして体をうるおすもののことです。この3つは、お互いに影響しあっています。大切なのは、この3つがバランス良くめぐっていること。どれかが多過ぎても少な過ぎてもいけません。


生理不順に関係するさまざまな「証」

漢方治療の最も大きな特徴は、漢方医学的に診断して治療することにあります。これを「証をみる」といいます。「証」をみて漢方薬を選ぶと、高い効果を発揮し、かつ、副作用を少なくすることができるとされています。

「証」とは、自覚症状及び他覚的所見からお互いに関連し合っている症候を総合して得られた状態(体質、体力、抵抗力、症状の現れ方などの個人差)をあらわす漢方独特の用語で、治療の指示(処方の決定)につながります。言い換えると、からだが病気とどんな戦い方をしているかをみるもので、体質や抵抗力、病気の進行度などをあらわします。

漢方の優れたところは漢方薬そのものもさることながら、歴史に裏付けられた「証」の考え方と使い方にあります。

生理不順に関係するのは以下の証になります。

体質 生理周期 生理不順の原因
血熱 体がほてりやすく、すぐ顔が赤くなる。 早い 味が濃く脂肪分が多い食生活、精神的なストレス、長期の体調不良など。
気虚 「気」が不足している。 早い 過労、生活の不摂生、慢性疾患などによる「気」の消耗。
血寒 冷えやすい。 遅れる 冷えや慢性疾患。
血虚 血液や栄養が不足している。 遅れる 偏食など無神経な食生活、胃腸機能の低下、出血、慢性疾患など。
痰湿 ぽっちゃりとしている。 遅れる 多食、食事の不摂生、過度の飲酒など。
肝鬱気滞 体の諸機能を調節する臓腑である『肝』の気(肝気)の流れが滞っている。 遅れる ストレスや緊張の持続。
腎虚 疲れやすく、冷え症。 不安定(無月経など) 生活の不摂生、過労、慢性疾患による体力低下、加齢など。

生理不順・生理痛に効果的な漢方薬5選

次に、症状別におすすめの漢方薬をご紹介します。


のぼせて足が冷える方の生理痛、生理に伴うイライラがある方

桂枝茯苓丸 第2類医薬品

桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)


比較的体力があり、ときに下腹部痛、肩こり、頭重、めまい、のぼせて足冷えなどを訴えるものの次の諸症:月経不順、月経異常、月経痛、更年期障害、血の道症、肩こり、めまい、頭重、打ち身(打撲症)、しもやけ、しみ、湿疹・皮膚炎、にきび
(注)「血の道症」とは、月経、妊娠、出産、産後、更年期など女性のホルモンの変動に伴って現れる精神不安やいらだちなどの精神神経症状および身体症状を指します。


一般的に「生理不順」に使われる漢方薬
「桂枝茯苓丸」の解説を見る


足腰の冷え、貧血や生理不順の方

当帰芍薬散 第2類医薬品

当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)


体力虚弱で、冷え症で貧血の傾向があり疲労しやすく、ときに下腹部痛、頭重、めまい、肩こり、耳鳴り、動悸などを訴えるものの次の諸症:月経不順、月経異常、月経痛、更年期障害、産前産後あるいは流産による障害(貧血、疲労倦怠、めまい、むくみ)、めまい・立ちくらみ、頭重、肩こり、腰痛、足腰の冷え症、しもやけ、むくみ、しみ、耳鳴り


一般的に「生理不順」に使われる漢方薬
「当帰芍薬散」の解説を見る


便秘がちな方の生理痛、生理時の精神不安がある方

桃核承気湯 第2類医薬品

桃核承気湯(とうかくじょうきとう)


体力中等度以上で、のぼせて便秘しがちなものの次の諸症:月経不順、月経困難症、月経痛、月経時や産後の精神不安、腰痛、便秘、高血圧の随伴症状(頭痛、めまい、肩こり)、痔疾、打撲症


一般的に「生理不順」に使われる漢方薬
「桃核承気湯」の解説を見る


ホルモンバランスが乱れ肩がこり、疲れやすくイライラなどある方

加味逍遙散 第2類医薬品

加味逍遙散(かみしょうようさん)


体力中等度以下で、のぼせ感があり、肩がこり、疲れやすく、精神不安やいらだちなどの精神神経症状、ときに便秘の傾向のあるものの次の諸症:冷え症、虚弱体質、月経不順、月経困難、更年期障害、血の道症、不眠症
(注)「血の道症」とは、月経、妊娠、出産、産後、更年期など女性のホルモンの変動に伴って現れる精神不安やいらだちなどの精神神経症状および身体症状を指します。


一般的に「生理不順」に使われる漢方薬
「加味逍遙散」の解説を見る


低血圧、体がだるい方

四物血行散 第3類医薬品

四物血行散(しもつけっこうさん)


貧血に伴う全身倦怠、低血圧、月経異常、婦人科諸疾患に起因する神経症状(めまい、のぼせ、耳鳴、頭痛、不眠、憂うつ症、不安感)、子宮出血、産前産後及び妊娠による貧血、妊婦の強壮、産婦の強壮


一般的に「生理不順」に使われる漢方薬
「四物血行散」の解説を見る


まとめ

いかがでしたか。多くの女性が悩んでいる生理不順や生理痛について、その原因やおすすめの漢方薬をご紹介してきました。自分の身体に合った漢方薬で生理が不安定な体質そのものを改善してみるのはいかがでしょうか。