漢方薬名解説

一般的に「疲れ」に使われる漢方薬

十全大補湯(じゅうぜんだいほとう)

目次

「十全大補湯」はこんな方に!

疲れて動けないタイプ

  • 朝起きるのがつらいほど疲れている方
  • 休んでも疲れが抜けない方
  • 最近大きな病気や手術をした方
  • 髪の傷みや肌あれが気になる方

「十全大補湯」はどんなふうに効くの?

「気」は、人の体を支えるすべての原動力のようなもので、「血(けつ)」は全身の組織や器官に栄養分を与えるものなので、どちらが不足しても人は動けません。「気」と「血(けつ)」がともに不足している人は、バッテリーを使い過ぎて弱くなったり、古くなったりして、充電してもすぐ切れてしまう携帯電話のようなものです。

「十全大補湯(じゅうぜんだいほとう)」は、“完全に大いに補う”という意味で名付けられています。胃腸のはたらきを高め、食べ物の栄養分を消化吸収できるようにして「気」と「血(けつ)」を増やします。同時に、「気」「血(けつ)」をめぐらせ、全身にいきわたるようにします。


漢方用語解説
目に見えないが人の体を支えるすべての原動力のようなもの
全身の組織や器官に栄養を与えるもの

配合されている生薬は?

  • 人参(にんじん)
  • 黄耆(おうぎ)
  • 白朮(びゃくじゅつ)
  • 茯苓(ぶくりょう)
  • 当帰(とうき)
  • 芍薬(しゃくやく)
  • 地黄(じおう)
  • 川芎(せんきゅう)
  • 桂皮(けいひ)
  • 甘草(かんぞう)

漢方的考え方で疲れを分析

漢方では、「気」が不足したり、めぐらなかったりすると疲れが出ると考えます。「気」は、人の体のあちこちで動力の役割をしているので、不足すると体を動かせなくなります。また、「気」そのものは足りていても、全身にいきわたらなければ疲れを感じます。たとえば、「気」が頭のほうまでめぐっていかないと、めまいを起こしたりぼーっとしたりします。

さらに、「気」が足りない状態が続くと、「気」と表裏一体で動いている「血(けつ)」も不足してきます。「血(けつ)」は、全身に栄養を与えているので、「血(けつ)」が不足すると全身の栄養が不足して疲れがひどくなるだけでなく、不安感が増してなかなか眠れないなど、精神的にも影響が出ます。また、「血(けつ)」は髪をつくる原料と考えられているため、髪が傷むのも「血(けつ)」の不足からといえます。


症状・悩みから選ぶ‐「疲れ」

漢方薬での疲れの治し方

西洋医学では、体がエネルギーをつくるための栄養素を補給することで、疲労回復を目指します。体の機能の一部を肩代わりするようなものなので、比較的早く動けるようになりますが、肩代わりがなくなるとまたいずれ元に戻ります。

漢方では、疲れは「気」と「血(けつ)」の問題と考え、「気」「血(けつ)」を補い、めぐらせる方法をとります。「気」は人の体の機能の原動力で、人間の体にそなわっている「治そう」とする力のもとになっています。漢方は、回復する過程が大事だと考え、「治そう」とする力をサポートすることで症状を改善していくので、機能を肩代わりするというよりは、うまいやり方に導いてくれるといった感じです。そのため、時間はかかりますが、体のちょうどいい状態を維持しやすくなります。

「十全大補湯(じゅうぜんだいほとう)」は、胃腸消化力の低下、疲労倦怠し四肢がだるい、貧血、手足が冷えるなどの症状や、病後の体力が低下したときなどに用いられます。気を補う「四君子湯(しくんしとう)」と、血を補う「四物湯(しもつとう)」を中心に構成されており、機能面、物質面の消耗に対して用いられます。


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