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夜間頻尿とは?

~症状と原因、対策について~

「夜間に何回もトイレに起きてしまう」と悩んでいる高齢者の方が多くいます。夜間にトイレに1回以上起きる夜間頻尿は、転倒のリスクが高く、また睡眠不足から日中の生活の質が低下する原因になります。高齢者にとって、日中の生活の質を維持することは、介護予防につながるため、非常に重要です。年を重ねたらトイレが近くなるのは当たり前というわけではありません。夜間頻尿の原因や対策について紹介します。

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「夜間頻尿」の定義

夜間頻尿とは、「夜間に排尿のために 1 回以上起きる」症状のことです。日常生活に支障があることが多く、加齢とともに夜間頻尿を訴える方は多くなります。 夜間頻尿の排尿の回数は、睡眠中に尿意のために目が覚めてトイレに行く回数をさします。

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夜間頻尿の原因

頻尿の症状

夜間頻尿の原因は、夜間に限らず日中の尿量も多い「多尿」および夜間に尿量が増える「夜間多尿」、膀胱容量の低下、睡眠障害に大きく分けられます。その他、循環器系の病気が原因の場合もあります。また、夜間頻尿は、生活習慣や加齢などを背景に、いくつかの原因が重なって生じる場合もあります。夜間頻尿の原因を詳しくみていきましょう。

●夜間頻尿を引き起こす生活習慣・要因

夜間頻尿を引き起こす原因として、水分の摂り過ぎや偏った食事などの生活習慣や、加齢が関係しています。

過剰な水分摂取

過剰な水分摂取

水分を必要以上に摂り過ぎると1日を通して尿量が増える多尿になりますが、日中に排泄しきれなかった水分を夜間にも排泄するため、夜間多尿にもなります。

例えば、脳梗塞予防などのために習慣的に多量の飲水をしている、利尿作用のある薬や副作用としてのどの渇きがある薬を服用している、のどの渇きを訴える糖尿病などの病気がある方などは、水分を過剰に摂取する傾向にあります。また、寝る前に飲水量が多い方は、夜間多尿の原因となります。

塩分やカリウムの多い食事

塩分やカリウムの多い食事

塩分は主に食塩、つまり塩化ナトリウムとして食事から摂りますが、塩分の多い食事を摂ると、のどが渇いて飲水量が多くなり夜間の排尿量と排尿回数が多くなることがわかっています。

また、カリウムはナトリウムを尿に排泄するために必要なミネラルで、野菜や果物などに多く含まれており利尿効果を高める働きがあります。そのため、カリウムの摂取が多いと尿量が増える原因となります。

加齢

加齢

通常身体は、夜間には抗利尿ホルモンというホルモンが多く分泌されて、夜間の尿量を少なくしています。加齢にともない夜間の抗利尿ホルモンの分泌量が減ることで、夜間の尿量が増えて夜間多尿となります。

また、高齢者では高血圧のある方や心機能や腎機能が低下している方が多く、日中に比べ夜、横になると腎臓の血流量が増えて尿量が増えるため、夜間頻尿になりやすいことがわかっています。

●夜間頻尿を引き起こす疾患

夜間頻尿は、ひとつの症状であり、病気ではありません。しかし病気の何らかのサインの場合もあるため注意が必要です。
夜間頻尿を引き起こす疾患として、膀胱に尿が少量しか貯められなくなる膀胱畜尿障害を生じる疾患があります。また、睡眠障害やその他の循環器系の疾患が関わっている場合もあります。夜間頻尿の原因となる代表的な疾患を説明します。

前立腺肥大症

前立腺肥大症は、男性特有の臓器である前立腺が加齢にともない肥大し、尿道を圧迫するため排尿しづらくなる病気です。

排尿しきれずに残尿量が増えて膀胱の容量が少なくなるため、夜間頻尿だけでなく日中も頻尿を生じます。また、排尿しづらい状況が続くことで膀胱が過敏になり、頻尿や夜間頻尿を生じる原因となります。 厚生労働省の調査によると、65歳以上の男性の1000人中82.9名が、通院による前立腺肥大症の治療を受けています(厚生労働省「国民生活基礎調査の概要」平成28年より)。 これは、狭心症・心筋梗塞や脂質異常症とくらべ、同等以上の数値となります。
生活をする上で不便を感じますが、病院に行くほどではないと楽観視している人も多くみられ、実際には悩んでいる人が多数いるとされます。

過活動膀胱

過活動膀胱とは、膀胱が過敏になって尿が膀胱に少ししか溜まっていなくても、膀胱が勝手に収縮する状態を指します。

その結果、急な尿意でトイレに駆け込むことになり、頻尿や夜間頻尿の原因となります。過活動膀胱は夜間頻尿を生じる大きな原因であり、過活動膀胱がある男性の約7割が1回以上、女性の3割が2回以上の夜間頻尿があることがわかっています。

骨盤臓器脱

女性の夜間頻尿の原因として、骨盤臓器脱があります。

骨盤臓器脱は、出産や加齢、肥満などによって、骨盤内の臓器を支えている筋肉や靱帯が緩み、膀胱、子宮、小腸、直腸など骨盤内の臓器が下がり、時には膣から飛び出てしまうこともあります。膀胱を圧迫することで頻尿となりますが、骨盤臓器脱のある女性の7割弱の方が、夜間頻尿で悩んでいるといわれています。

睡眠障害

夜間頻尿と睡眠障害は、両方が相互に関わっています。

夜間頻尿があるため不眠になる場合と、眠りが浅く夜中に目が覚めると尿意をもよおしてトイレに行く場合で、悪循環となります。高齢の方は眠りが浅くなる傾向があり、夜間頻尿と睡眠障害は転倒のリスクが高くなるため、両方の治療が必要です。
また、糖尿病、肥満、うつ、認知症、パーキンソン病などは睡眠障害を生じやすく、夜間頻尿の原因であることが多いようです。夜間頻尿と睡眠障害の原因を探り、両方を治療することが大切です。

その他

●循環器系疾患

夜間頻尿のその他の原因として、高血圧や心不全、心血管疾患などの循環器系の疾患があります。特に高血圧と夜間頻尿の関係は明らかで、夜間の血圧が高い高齢者や、高血圧の方では、夜間の尿量が増えるため夜間頻尿となります。
また、心不全のある方は心機能の低下により日中は下半身に水分が貯留しむくみやすいのですが、夜間に横になると腎臓への血流量が増し、尿量が増えるため夜間頻尿になります。

●睡眠時無呼吸症候群、レストレスレッグス症候群(むずむず脚症候群)など

睡眠時無呼吸症候群やレストレスレッグス症候群は、不眠の原因になりやすいため夜間頻尿も生じやすいことがわかっています。また、睡眠時無呼吸症候群の方は、過活動膀胱がある方が多いといわれており、頻尿や夜間頻尿を生じる原因となります。

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夜間頻尿の
対策・改善策

夜間頻尿を改善するには、その原因に対する対策が必要です。どのような方法があるか紹介していきましょう。

頻尿の原因

●病院・医療機関の診察

夜間頻尿で、睡眠不足になり日常の生活の質が低下するようであれば、病院・医療機関で診察を受けることをおすすめします。夜間頻尿の原因を明らかにして、治療をする必要があるからです。病院・医療機関を受診する前に、ご自身の夜間頻尿やその他の症状を確認しておきましょう。

医師による診断のポイント

医師による診断のポイントは大きく次の3つに分けられます。

夜間頻尿その他の症状 考えられる原因
①夜間頻尿だけで、他の排尿にまつわる症状(尿意切迫感、尿もれ、残尿感など)がないかどうか 夜間多尿
睡眠障害
②夜間だけでなく日中も多尿であるが、他の排尿にまつわる症状はないかどうか 多尿
③頻尿と夜間頻尿と排尿にまつわる症状があるかどうか 膀胱蓄尿障害(過活動膀胱、前立腺肥大症、その他)

夜間頻尿の原因は複合的で、いくつかの原因や他の病気、服用している薬などが関係している場合もあります。ご自身の状況を把握するための排尿日誌とお薬手帳が、医師が診察する際の参考になります。

排尿日誌

排尿日誌は、朝起きてから翌日の朝までの排尿時刻と1回の排尿量を記録するものです。排尿量は、メモリ付のコップなどを利用しましょう。
また、飲水量や尿漏れなどの症状があれば一緒に記録しましょう。2~3日間記録して、病院・医療機関を受診の際に持参してください。

●寝る前に水分を摂り過ぎないようにする

夜間多尿の対策として、寝る前には水分を摂り過ぎないようにしましょう。寝る前に服用する薬がある方は、夕食時のお茶や汁物などを少し控えて調節してください。
「夜間頻尿診療ガイドライン」では、1日の飲水量と尿量を調べて、1日の尿量が体重1kgあたり20~25mLになるように、1日の飲水量を調節することをすすめています。
ただし、飲水量を控えすぎると、脱水や脳梗塞の発症・悪化の原因になるので注意が必要です。持病のある方や、脳梗塞などの発症リスクが高い方は、適切な飲水量について、医師に相談してみましょう。

●食生活を見直してみる

味の濃い食事を好む方は、塩分の摂取量が多く、のどが渇いて飲水量が多くなるうえ、体内のナトリウムを排泄するために尿量が増えます。また塩分の摂り過ぎは高血圧の原因であり、夜間頻尿との関係がわかっています。乱れた食生活は肥満、高血圧、糖尿病などの生活習慣病の原因となり、夜間頻尿につながります。食生活を見直し、減塩とバランスの取れた食事を摂ることで、夜間頻尿の改善が期待できます。

●漢方薬を活用する

薬物治療として漢方を活用する方法があります。体力が中等度以下で疲れやすく、四肢が冷えやすい体質の方で、夜間頻尿、頻尿または軽い尿漏れがある方には、『八味地黄丸』をおすすめします。

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まとめ

夜間に1回以上トイレに起きるのは夜間頻尿ですが、中には、昼間もトイレが近い、急にトイレに行きたくなって我慢できない、尿もれパットが欠かせないなどの症状をお持ちの方も少なくありません。
加齢に伴い少なからず夜間のトイレが近くなりますが、夜間頻尿は転倒のリスクもあり、日中の生活の質が低下する原因にもなります。

また、夜間頻尿を生じさせる他の病気である可能性もあるため、原因を見極めて治療することが大切です。まずは夜間頻尿を生じる可能性のある生活習慣を見直し、診断の助けとなる排尿日誌を持って、医師に相談してみましょう。

小谷敦子

薬剤師免許取得後、病院薬剤師として就職。ライフステージの変化にともない、調剤薬局の薬剤師とメディカルライターとしての実績を積んできた。東洋医学専門診療科のある大学病院の門前薬局では、漢方薬の処方に対する数多くの服薬指導を経験。

参考:日本排尿機能学会/日本頻尿器科学会「夜間頻尿診療ガイドライン[第2版]」

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