腎虚に対応する処方

中医学では、病気というほどではない「未病」の状態に対しても、対応できる処方があります。
疲れやすい、ひざが痛い、トイレが近い、目がかすむ…そんな「腎虚」の症状に対応する処方はどのような考え方で作られているのか、見てみましょう。

※このサイトの情報は、毎日の生活のご参考となるものです。ご自身の健康状態については、医師にご相談ください。

腎陽虚、腎陰虚の状態のイメージ図

「腎陽虚」は、腎陰に比べて腎陽が不足している状態です

」には、生命活動の根源とされる「精」が蓄えられており、「精」は「腎陽」と「腎陰」に変化します。
「腎陽」は、体を温めたり機能させたりするエネルギーの源であり、「腎陰」は体を潤わせて滋養させます。「腎陽」と「腎陰」は、バランスが取れていることが大切です。

年とともに「精」は減っていき、老化の症状が現れますが、その現象とともに「腎陽」や「腎陰」も少なくなっていきます。とくに、「腎陽」が不足している状態を「腎陽虚」、また「腎陰」が不足している状態を「腎隠虚」といいます。

八味地黄丸(はちみじおうがん)と牛車腎気丸(ごしゃじんきがん)は、主に「腎陽虚」に対応する処方です。

八味地黄丸

八味地黄丸は、別名“腎気丸”ともいい、腎虚の症状に対して用いられる代表的な処方です。
八味地黄丸の処方は、「温補腎陽(おんぽじんよう)」という考え方で作られています。「温補腎陽」とは、エネルギーをつくり出す力を高めて体を温めるとともに、「腎陽」を補うということを意味します。
八味地黄丸は、体を温める生薬をメインに、8種類の生薬で構成されています。

八味地黄丸は、腎陽虚の人に起こりがちな、さまざまな症状を改善します。
この処方が向いている人は、疲れやすくて、四肢が冷えやすく、尿の量が多かったり少なかったりし、口が渇く傾向にある人です。このタイプの人は、舌を見ると、色が薄いことが多いようです。

<八味地黄丸の効能・効果>
体力中等度以下で、疲れやすくて、四肢が冷えやすく、尿量減少又は多尿で、ときに口渇があるものの次の諸症:
下肢痛、腰痛、しびれ、高齢者のかすみ目、かゆみ、排尿困難、残尿感、夜間尿、頻尿、むくみ、高血圧に伴う随伴症状の改善(肩こり、頭重、耳鳴り)、軽い尿漏れ

牛車腎気丸

牛車腎気丸も、八味地黄丸と並んで腎虚の症状に対して用いられることの多い処方ですが、「温陽利水(おんようりすい)」という考え方で作られています。「温陽利水」とは、体を温め、水分代謝を調節することを意味します。
牛車腎気丸は、八味地黄丸に使われている8種類の生薬に、「牛膝(ごしつ)」と「車前子(しゃぜんし)」を加えた構成となっています。

牛車腎気丸は、腎陽虚で、体内の水分が滞りやすい人に起こりがちな、さまざまな症状を改善します。
この処方が向いている人は、疲れやすくて、四肢が冷えやすく、尿の量が少ないほか、むくみがある人です。また、口が渇く傾向もあります。このタイプの人は、おなかに水がたまった感じがすることもあります。また、舌の色が薄いことが多いようです。

<牛車腎気丸の効能・効果>
体力中等度以下で、疲れやすくて、四肢が冷えやすく尿量減少し、むくみがあり、ときに口渇があるものの次の諸症:
下肢痛、腰痛、しびれ、高齢者のかすみ目、かゆみ、排尿困難、頻尿、むくみ、高血圧に伴う随伴症状の改善(肩こり、頭重、耳鳴り)